Article
Article
I&CO
I&CO

強いブランドを作るために 2026 Vol.8: 「アイスを売る」から「夏の体験を守る」へ。ロッテ「クールシェルタープロジェクト」に見る、ブランドのフライホイール

強いブランドを作るために 2026 Vol.8: 「アイスを売る」から「夏の体験を守る」へ。ロッテ「クールシェルタープロジェクト」に見る、ブランドのフライホイール

企業のブランド構築に伴走するI&COが、「強いブランドを作るために 2026」というテーマのもと、財務、コミュニケーション、インターナルブランディングの3つの視点から考察したシリーズ記事をお届けします。ブランドはどのように生まれ、事業や組織の中にどのように組み込まれていくのか。この問いを、シリーズを通じて紐解いていきます。

著者:高宮 範有(たかみや のりくに)

I&CO APAC代表。Delphys Inc.、PARTYを経て、2019年7月にI&CO Tokyoを立ち上げる。新規事業開発とそのブランディング、体験設計を得意とする。これまでに「UNIQLO IQ」「StyleHint」のコンセプト開発・UXデザインをはじめ、「Mercari Inc. 上場時のコーポレートブランディング」「P&G PANTENE #この髪どうしてダメですか」などを手掛ける。あわせて、スタートアップの事業拡大を数多く担当し、広報戦略立案にも携わる。クリエイティブ集団 PARTYの社外パートナー、TrambellirのCDO(ChiefDesign Officer)を兼任。

はじめに

今回取り上げるのは、2026年夏にロッテが「クーリッシュ」と「爽」を起点に始めた「クールシェルタープロジェクト」です。I&COは、戦略策定からチームに参画し、主に企画・デザイン開発を担いました。

アイスメーカーが、街に日陰をつくる。一見遠回りに見えるこの取り組みが、なぜブランドを強くするのか。その構造を紐解いていきます。

広告を増やすことと、ブランドが強くなることは違う

ブランドを強くするために、企業は何をすべきなのでしょうか。

広告を増やす。キャンペーンをつくる。SNSで話題を生む。どれも有効な手段です。しかし持続的な成長という観点で見ると、施策を単発で積み上げるだけでは足りません。

I&COでは、ブランドを「会社」「プロダクト」「顧客」「ブランド」の4つが循環するブランドのフライホイールとして捉えています。


会社の意志がプロダクトに宿り、その体験が顧客の信頼を生む。蓄積された信頼がブランドを強くし、強いブランドが次の挑戦を可能にする。歯車は、一度回り始めると、回転が次の回転を生み、やがて大きな勢いになります。

このレンズを通して見ると、クールシェルタープロジェクトの構造がよく見えてきます。

COMPANY:長くなる夏に、アイスメーカーは何ができるのか

出発点にあったのは、日本の夏そのものの変化でした。

気候変動の影響で、日本では春と秋が短くなり、夏が長期化する「二季化」が進んでいます。三重大学・立花義裕教授の研究によれば、1982年からの42年間で夏は約3週間も長くなりました。

気候が変われば、人の行動も変わります。

ロッテが実施した全国2,000人(10代〜50代)への調査でも、それははっきりと表れました。「暑さが厳しくて外出をやめる、または外出時間を短くすることが直近2〜3年で増えた」と答えた人は70.9%。「本当はしたかった夏の行動を諦めた」人も64.9%に達しています。


ここで重要なのは、この結果を「暑くなった」で片づけなかったことです。暑さが奪っているのは、快適さだけではありません。

友人と公園で遊ぶ。家族でピクニックに行く。海へ行く。街を歩く。屋外でスポーツをする。

当たり前に存在していた体験そのものが、とりわけ若い世代から少しずつ失われている。つまり気候変動によって、「体験の喪失」が起きているのです。

長く厳しくなる日本の夏に対して、アイスメーカーであるロッテには何ができるのか。プロジェクトはこの問いから始まりました。

PRODUCT:「微細氷」というプロダクトの特徴を再解釈し、街まで広げる

「クーリッシュ」と「爽」には、共通する技術があります。ロッテ独自の「微細氷」です。

クーリッシュは微細氷を含んだ飲むアイスとして、爽は微細氷によるシャリっとした食感とすっきりした後味を特徴としてきました。両ブランドが長年届けてきたものは、言い換えれば「涼しさ」であり「爽快感」です。

ここが、今回の取り組みを考えるうえで最大のポイントになりました。

社会課題を掲げたブランドアクティベーションは、時にブランドと課題の接続が切れてしまう場合があります。「なぜこの会社がそれをやるのか」に答えられなければ、どれだけ意義のある活動でもブランドの成長には結びつきにくくなるからです。

しかしロッテは、新しい価値を外から借りてきたわけではありません。

これまでアイスを通じて届けてきた「涼」を、商品の外側へと拡張しました。

「食べる涼しさ」を軸に、「過ごす涼しさ」まで拡大する。

ひとつのアイスで一人に涼を届けることから、日陰をつくって街に涼を届けることへ。プロダクトが担ってきた役割を軸に据えたまま、そのスケールを変えたのです。

CUSTOMERS:「商品を体験してもらう」から「体験そのものをつくる」へ

その考えを形にしたのが、街に置かれたシェルターです。

東京・渋谷のMIYASHITA PARKでは芝生ひろばとスケート場に大型シェルターを設置し、神奈川・片瀬西浜海水浴場ではパラソルを展開。さらに大阪・なんば広場、埼玉・熊谷、群馬・伊勢崎と、厳しい暑さと向き合う地域へ広げていきました。


特徴的なのは、いずれももともと人の体験が生まれていた場所であることです。

公園で友人と過ごす。スケートボードをする。海で遊ぶ。駅前を歩く。

暑さによって失われつつある行動の中に日陰をつくり、そこで「クーリッシュ」や「爽」を手渡す。直射日光下では体感温度が最大約8℃高くなるとされ、電力を使わない日よけであっても、体験の可否を分けるには十分な差が生まれます。

「アイスを食べてもらうために人を集める」のではなく、「人々がこれまで通り夏を体験できる環境をつくり、その中にプロダクトを置く」。

あるメディアでは、この取り組みを「ロッテがアイスを売るのではなく『外に出る理由』をつくる側に回った」と表現しました。本質を的確に捉えた言葉だと思います。

もっとも、リアルな体験イベントとして「何人が触れたか」だけで測れば、テレビCMやデジタル広告に比べて効率が悪く見えてしまいます。今回のような取り組みでは、その先を見る必要があります。

BRAND:体験した人数を超えて、「信頼」が広がっていく

クールシェルタープロジェクトは、現地を訪れた人だけに届く取り組みだけで終わらず、さらなる広がりを見せています。

初日となったMIYASHITAパークや、当日、38.1度を記録した大阪・なんば広場での展開によって複数のTV番組でこの取り組みが報じられるとともに、いくつものメディアによって、報道されることになりました。

ここに、ブランドアクティベーションのもうひとつの役割があります。

現地で体験できる人数には限りがある。しかしその体験に社会的な意味があり、「なぜこのブランドがこれをやるのか」が明快であれば、体験はニュースやSNSを通じて何倍にも増幅されます。日陰そのものは動きませんが、日陰によって作られた価値は伝播していくのです。


しかも、そこで語られる内容は商品スペックにとどまりません。「爽はシャリシャリしている」から一歩進み、「暑くなる日本の夏に、ロッテは涼を届けようとしている」という認識が生まれる。この瞬間、プロダクトを通じて伝わるのはその機能だけではありません。そこに現れる企業の姿勢そのものが、ブランドへの信頼へと変換されます。

広告で「私たちはこういうブランドです」と宣言するのではなく、行動によって「このブランドなら信頼できる」と感じてもらう。この差は、想像以上に大きいのではないでしょうか。

フライホイールを回したのは、「新しさ」ではなく「一貫性」

では、なぜこの取り組みは機能したのか。理由は大きく二つあると考えています。

ひとつは、プロダクトが持つ価値から離れなかったことです。

ロッテ独自の微細氷。「クーリッシュ」と「爽」が長年届けてきた冷たさと爽快感。その延長線上に「街に日陰をつくる」というアクションがある。だからこそ社会性の高いプロジェクトでありながら、「なぜロッテなのか」という問いから外れずに企画を作ることができます。

もうひとつは、ブランドの強みと、いま社会が必要としているものが重なっていることです。

以前、海外展開するブランドについて「自分たちの強みと、オーディエンスのニーズが重なるところを探ることが重要」と書きました。同じことが、国内のブランドコミュニケーションにも当てはまります。

自分たちが言いたいことから始めるのではない。社会や顧客に起きている変化を捉え、そのなかで自分たちだからこそ提供できる価値を見つける。

今回で言えば、「微細氷という技術で涼を届けてきた」というブランドの強みと、「暑さによって夏の体験が失われている」という社会のインサイト。その二つが重なる一点にクールシェルターがあったからこそ、アクティベーションに必然性が宿ったのだと思います。

そしてロッテは、この活動を一過性のイベントで終わらせませんでした。気象学の立花義裕教授(三重大学)、公衆衛生学の藤原武男教授(東京科学大学)、三井不動産、一般社団法人アツいまちらと「クールシェルター評議会」を立ち上げています。実証実験や効果検証、ガイドラインづくりを通じて、日陰を社会の仕組みへと育てていく構えです。

ここまで来ると、フライホイールは最初の「COMPANY」へと戻ってきます。強くなったブランドが、さらに大きな活動や新しいプロダクトへの挑戦を可能にするからです。

COMPANY → PRODUCT → CUSTOMERS → BRAND → COMPANY → 。

ブランドを成長させるのは、一度の大きなキャンペーンだけではありません。それぞれの活動が一本の軸でつながり、次の活動を生み出していく状態をつくることです。

今回の取り組みで重要な点は、まったく新しいブランドイメージをつくろうとしたわけではない、という点です。もともと商品が持っていた「涼を届ける」という役割・文脈を、プロダクトから街へ、人へ、社会へと広げた。ただそれだけとも言えます。

フライホイールを回す起点は、どこか遠くにある新しいアイデアではないのかもしれません。すでに自分たちが持っている価値を、いまの社会に合わせて捉え直すこと。そこから始めることこそが、ブランドの信頼を積み重ねる第一歩となります。

あなたのブランドが何年もかけて築いてきた信頼は、いま、どこまで広げられるでしょうか。


「強いブランドをつくるために 2026」の他の記事
-
Vol.7 なぜ、ブランドの予算は最初に削られるのか?
-
Vol.9 ブランド構築は、社内の誰が担うべきか

企業のブランド構築に伴走するI&COが、「強いブランドを作るために 2026」というテーマのもと、財務、コミュニケーション、インターナルブランディングの3つの視点から考察したシリーズ記事をお届けします。ブランドはどのように生まれ、事業や組織の中にどのように組み込まれていくのか。この問いを、シリーズを通じて紐解いていきます。

著者:高宮 範有(たかみや のりくに)

I&CO APAC代表。Delphys Inc.、PARTYを経て、2019年7月にI&CO Tokyoを立ち上げる。新規事業開発とそのブランディング、体験設計を得意とする。これまでに「UNIQLO IQ」「StyleHint」のコンセプト開発・UXデザインをはじめ、「Mercari Inc. 上場時のコーポレートブランディング」「P&G PANTENE #この髪どうしてダメですか」などを手掛ける。あわせて、スタートアップの事業拡大を数多く担当し、広報戦略立案にも携わる。クリエイティブ集団 PARTYの社外パートナー、TrambellirのCDO(ChiefDesign Officer)を兼任。

はじめに

今回取り上げるのは、2026年夏にロッテが「クーリッシュ」と「爽」を起点に始めた「クールシェルタープロジェクト」です。I&COは、戦略策定からチームに参画し、主に企画・デザイン開発を担いました。

アイスメーカーが、街に日陰をつくる。一見遠回りに見えるこの取り組みが、なぜブランドを強くするのか。その構造を紐解いていきます。

広告を増やすことと、ブランドが強くなることは違う

ブランドを強くするために、企業は何をすべきなのでしょうか。

広告を増やす。キャンペーンをつくる。SNSで話題を生む。どれも有効な手段です。しかし持続的な成長という観点で見ると、施策を単発で積み上げるだけでは足りません。

I&COでは、ブランドを「会社」「プロダクト」「顧客」「ブランド」の4つが循環するブランドのフライホイールとして捉えています。


会社の意志がプロダクトに宿り、その体験が顧客の信頼を生む。蓄積された信頼がブランドを強くし、強いブランドが次の挑戦を可能にする。歯車は、一度回り始めると、回転が次の回転を生み、やがて大きな勢いになります。

このレンズを通して見ると、クールシェルタープロジェクトの構造がよく見えてきます。

COMPANY:長くなる夏に、アイスメーカーは何ができるのか

出発点にあったのは、日本の夏そのものの変化でした。

気候変動の影響で、日本では春と秋が短くなり、夏が長期化する「二季化」が進んでいます。三重大学・立花義裕教授の研究によれば、1982年からの42年間で夏は約3週間も長くなりました。

気候が変われば、人の行動も変わります。

ロッテが実施した全国2,000人(10代〜50代)への調査でも、それははっきりと表れました。「暑さが厳しくて外出をやめる、または外出時間を短くすることが直近2〜3年で増えた」と答えた人は70.9%。「本当はしたかった夏の行動を諦めた」人も64.9%に達しています。


ここで重要なのは、この結果を「暑くなった」で片づけなかったことです。暑さが奪っているのは、快適さだけではありません。

友人と公園で遊ぶ。家族でピクニックに行く。海へ行く。街を歩く。屋外でスポーツをする。

当たり前に存在していた体験そのものが、とりわけ若い世代から少しずつ失われている。つまり気候変動によって、「体験の喪失」が起きているのです。

長く厳しくなる日本の夏に対して、アイスメーカーであるロッテには何ができるのか。プロジェクトはこの問いから始まりました。

PRODUCT:「微細氷」というプロダクトの特徴を再解釈し、街まで広げる

「クーリッシュ」と「爽」には、共通する技術があります。ロッテ独自の「微細氷」です。

クーリッシュは微細氷を含んだ飲むアイスとして、爽は微細氷によるシャリっとした食感とすっきりした後味を特徴としてきました。両ブランドが長年届けてきたものは、言い換えれば「涼しさ」であり「爽快感」です。

ここが、今回の取り組みを考えるうえで最大のポイントになりました。

社会課題を掲げたブランドアクティベーションは、時にブランドと課題の接続が切れてしまう場合があります。「なぜこの会社がそれをやるのか」に答えられなければ、どれだけ意義のある活動でもブランドの成長には結びつきにくくなるからです。

しかしロッテは、新しい価値を外から借りてきたわけではありません。

これまでアイスを通じて届けてきた「涼」を、商品の外側へと拡張しました。

「食べる涼しさ」を軸に、「過ごす涼しさ」まで拡大する。

ひとつのアイスで一人に涼を届けることから、日陰をつくって街に涼を届けることへ。プロダクトが担ってきた役割を軸に据えたまま、そのスケールを変えたのです。

CUSTOMERS:「商品を体験してもらう」から「体験そのものをつくる」へ

その考えを形にしたのが、街に置かれたシェルターです。

東京・渋谷のMIYASHITA PARKでは芝生ひろばとスケート場に大型シェルターを設置し、神奈川・片瀬西浜海水浴場ではパラソルを展開。さらに大阪・なんば広場、埼玉・熊谷、群馬・伊勢崎と、厳しい暑さと向き合う地域へ広げていきました。


特徴的なのは、いずれももともと人の体験が生まれていた場所であることです。

公園で友人と過ごす。スケートボードをする。海で遊ぶ。駅前を歩く。

暑さによって失われつつある行動の中に日陰をつくり、そこで「クーリッシュ」や「爽」を手渡す。直射日光下では体感温度が最大約8℃高くなるとされ、電力を使わない日よけであっても、体験の可否を分けるには十分な差が生まれます。

「アイスを食べてもらうために人を集める」のではなく、「人々がこれまで通り夏を体験できる環境をつくり、その中にプロダクトを置く」。

あるメディアでは、この取り組みを「ロッテがアイスを売るのではなく『外に出る理由』をつくる側に回った」と表現しました。本質を的確に捉えた言葉だと思います。

もっとも、リアルな体験イベントとして「何人が触れたか」だけで測れば、テレビCMやデジタル広告に比べて効率が悪く見えてしまいます。今回のような取り組みでは、その先を見る必要があります。

BRAND:体験した人数を超えて、「信頼」が広がっていく

クールシェルタープロジェクトは、現地を訪れた人だけに届く取り組みだけで終わらず、さらなる広がりを見せています。

初日となったMIYASHITAパークや、当日、38.1度を記録した大阪・なんば広場での展開によって複数のTV番組でこの取り組みが報じられるとともに、いくつものメディアによって、報道されることになりました。

ここに、ブランドアクティベーションのもうひとつの役割があります。

現地で体験できる人数には限りがある。しかしその体験に社会的な意味があり、「なぜこのブランドがこれをやるのか」が明快であれば、体験はニュースやSNSを通じて何倍にも増幅されます。日陰そのものは動きませんが、日陰によって作られた価値は伝播していくのです。


しかも、そこで語られる内容は商品スペックにとどまりません。「爽はシャリシャリしている」から一歩進み、「暑くなる日本の夏に、ロッテは涼を届けようとしている」という認識が生まれる。この瞬間、プロダクトを通じて伝わるのはその機能だけではありません。そこに現れる企業の姿勢そのものが、ブランドへの信頼へと変換されます。

広告で「私たちはこういうブランドです」と宣言するのではなく、行動によって「このブランドなら信頼できる」と感じてもらう。この差は、想像以上に大きいのではないでしょうか。

フライホイールを回したのは、「新しさ」ではなく「一貫性」

では、なぜこの取り組みは機能したのか。理由は大きく二つあると考えています。

ひとつは、プロダクトが持つ価値から離れなかったことです。

ロッテ独自の微細氷。「クーリッシュ」と「爽」が長年届けてきた冷たさと爽快感。その延長線上に「街に日陰をつくる」というアクションがある。だからこそ社会性の高いプロジェクトでありながら、「なぜロッテなのか」という問いから外れずに企画を作ることができます。

もうひとつは、ブランドの強みと、いま社会が必要としているものが重なっていることです。

以前、海外展開するブランドについて「自分たちの強みと、オーディエンスのニーズが重なるところを探ることが重要」と書きました。同じことが、国内のブランドコミュニケーションにも当てはまります。

自分たちが言いたいことから始めるのではない。社会や顧客に起きている変化を捉え、そのなかで自分たちだからこそ提供できる価値を見つける。

今回で言えば、「微細氷という技術で涼を届けてきた」というブランドの強みと、「暑さによって夏の体験が失われている」という社会のインサイト。その二つが重なる一点にクールシェルターがあったからこそ、アクティベーションに必然性が宿ったのだと思います。

そしてロッテは、この活動を一過性のイベントで終わらせませんでした。気象学の立花義裕教授(三重大学)、公衆衛生学の藤原武男教授(東京科学大学)、三井不動産、一般社団法人アツいまちらと「クールシェルター評議会」を立ち上げています。実証実験や効果検証、ガイドラインづくりを通じて、日陰を社会の仕組みへと育てていく構えです。

ここまで来ると、フライホイールは最初の「COMPANY」へと戻ってきます。強くなったブランドが、さらに大きな活動や新しいプロダクトへの挑戦を可能にするからです。

COMPANY → PRODUCT → CUSTOMERS → BRAND → COMPANY → 。

ブランドを成長させるのは、一度の大きなキャンペーンだけではありません。それぞれの活動が一本の軸でつながり、次の活動を生み出していく状態をつくることです。

今回の取り組みで重要な点は、まったく新しいブランドイメージをつくろうとしたわけではない、という点です。もともと商品が持っていた「涼を届ける」という役割・文脈を、プロダクトから街へ、人へ、社会へと広げた。ただそれだけとも言えます。

フライホイールを回す起点は、どこか遠くにある新しいアイデアではないのかもしれません。すでに自分たちが持っている価値を、いまの社会に合わせて捉え直すこと。そこから始めることこそが、ブランドの信頼を積み重ねる第一歩となります。

あなたのブランドが何年もかけて築いてきた信頼は、いま、どこまで広げられるでしょうか。


「強いブランドをつくるために 2026」の他の記事
-
Vol.7 なぜ、ブランドの予算は最初に削られるのか?
-
Vol.9 ブランド構築は、社内の誰が担うべきか

Newsletter from I&CO

日本の社会・企業・人のより良い未来への展望を開くヒントとなる
ようなコラムや、最新情報を隔週でお届けしています。

Newsletter from Rei Inamoto

ブランド・ビジネス・テクノロジーの交差点で、
企業やブランドのこれからを探ります。(記事は英語です)

Book by Rei Inamoto

ブランドを経営の本質として捉え直す
レイ・イナモトの著書『Brand Shift -「信頼」で選ばれる時代の成長戦略』

New York

26 Broadway, 3rd Floor
New York, NY 10004
+1 (917) 793-9045

Tokyo

15-1, Udagawa-cho

Shibuya-ku, Tokyo

+81 050 3708 9045

Singapore

152 Beach Rd,
#36 Gateway East,
Singapore 189721

Newsletter from I&CO

日本の社会・企業・人のより良い未来への展望を開くヒントとなる
ようなコラムや、最新情報を隔週でお届けしています。

Newsletter from Rei Inamoto

ブランド・ビジネス・テクノロジーの交差点で、
企業やブランドのこれからを探ります。(記事は英語です)

Book by Rei Inamoto

ブランドを経営の本質として捉え直す
レイ・イナモトの著書『Brand Shift -「信頼」で選ばれる時代の成長戦略』

New York

26 Broadway, 3rd Floor New York, NY 10004
+1 (917) 793-9045

Tokyo

15-1, Udagawa-cho Shibuya-ku, Tokyo

+81 050 3708 9045

Singapore

152 Beach Rd, #36 Gateway East,
Singapore 189721